アメリカ海軍 航空母艦 ホーネット(CV−8)
ホーネット
1/700
タミヤ
製作・松本の幹事長
一応、コンペ・ページの方には若干の本人コメントを含めたテキストがありますが、流石に写真だけが、でーん!っと一枚掲載されているだけなのも難ですから、ちょっとテキストも書いておきます。
写真が、一枚、でーん! とありますが、何か、一つだけが大きく存在して、ほとんど他はナシ、という構成って、どう思います?
かれこれ25年〜30年近く前ですから、記憶があやふやで不正確な所もあるかもしれませんが、その辺りはご容赦下さい。その頃、ウチの近所に在ったコンビニは「ファミリーマート」のみ、一択でした。基本的に自炊ではありますが、コンビニ弁当にまったくお世話にならない、と言う訳でもありませんから、買った事はあります。
で、90年代前半当時なのですが、友人が好んで買っていたのが、「ビックリ
チキン弁当」とか、そんな感じの名前の弁当で、380円。確か、鶏の竜田揚げか、チキンカツか、とにかく鶏肉の揚げ物がのっていて、ご飯のうえに刻み海苔が敷いてあり、昆布の佃煮がちょっと入っている、そんな感じの弁当です。
その友人の住まいの近くは「セブンイレブン」しかなく、「ファミリーマート」の弁当が珍しかったと言うのもあったのでしょうが、とにかく絶賛していました。
当時のコンビニ弁当の相場からしても、380円と言う価格は最安の部類ですし、揚げ物がでーんとのっていて、ご飯も確りあるので、ボリュームもそれなりですから、費用対効果は良いと言えたでしょう。
ただ、個人的には価格としては少し上ですが、同時期の「ファミリーマート」でしたら、「ささみカツ弁当」(とか、そんな感じの名前でした)の方が好きでした。ササミか、どうかは別としても、チキンカツがのっていて、ご飯の上に炒り玉子が敷かれていて、漬物は紅生姜だったと思いました。
何しろ、昔の事ですから、細かなディティールについては正確性を欠くかも知れませんが、そんな感じで420円の弁当です。
どちらも構成は似た感じなのですが、違いがあるとしたら、後者の方が、やや彩りが豊かと言う点でしょう。
弁当一枚ですから、量が多いと言う程ではありませんが、同じ物ばかりだと味が単調になり、飽き易いです。「ささみカツ弁当」に優位性を感じたのは、炒り玉子の甘さ、紅生姜の食感と味、その辺りがアクセントになっていて、「ビックリ チキン弁当」よりかも美味しく食べられた、…気がしたからです。
ここで不思議なのが、いわゆる丼物ですが、あれは基本的に味が一つなのに、不思議とOKな事です。
牛丼や親子丼など、丼一杯すべて同じ味だけなのに、別に飽きるとかありませんし、そう言う構成の食べ物として受け容れています。似たような構成として、カレーライスも、同じ部類に入ると思います。
そう考えると、何か、一つだけが大きく存在する、その事自体は別に悪くないように思えます。
例えば、とんかつ定食を頼む時はとんかつを食べたくて注文する訳で、色々と食べたいのならミックスフライを注文します。それにとんかつ定食で、メインたるとんかつの存在感が薄いのに、他のおかずがやたら充実していたら、かえって怒りを覚えます。
しかし、一方で、名脇役と言う存在も、また見過ごす事は出来ません。
前述の「ささみカツ弁当」なら紅生姜が良いアクセントになっています。とんかつ定食ならば、キャベツの千切りではなく、さりげなく皿にのっているポテトサラダやマカロニサラダ、或いはナポリタンなど、決してメインではないものの、意外とポイントが高い存在、それが名脇役です。
以前、「交通●設」の現場で、休み時間に話題になったのが、崎陽軒の「シュウマイ弁当」。勿論、弁当のメインはシュウマイですが、話題の中心は筍の煮物。シュウマイ弁当に入っている名脇役で、これが、個人的に言わしてもらえれば、駅弁最強の脇役だと思っています。
以前、駅弁の特集番組でも取り上げられ、調理している崎陽軒の人は「砂糖と醤油で煮ただけ」と言っていましたが、もし本当だとしたら、たった二つの調味料で、あの味が出るなんて、信じられません。よほど特別な醤油や砂糖なのか、配合比率に奥義があるか分りませんが、真似しても簡単に再現できる味ではありません。
さて、ここまで来て話題が変わっているのでは? と感じている人が居たとしたら、ここで安心して下さい。WWEの煽りVTR並に長い前振りですが、ここからが、本題です。
つまり何が言いたいのかと言えば、航空母艦のプラモデルに、艦載機は必要か、否か、と言う点です。
航空母艦という種類の船は、あくまで飛行機の都合で作られている船ですから、その意味では主は飛行機、従が船であると言えるでしょう。ただ、模型に関して言えば、艦載機のキットに航空母艦が付いてくる訳ではありません、商品名は船の方になっていて、そのキットに艦載機が付属してくる訳ですから、当然ながら主は航空母艦で、従が艦載機です。
おそらく模型に関して言うのであれば、この主従関係について、異論はないと思います。
つまり航空母艦のキットに、パーツの一つとして付属しているのが、艦載機と言えるでしょう。
それでは付属してきたパーツは、すべて使い切るのか? と言えば、そんな事はありません。金型を共用する都合で不要なパーツが山ほど入っているキットもありますし、選択によって片方のパーツしか使わないケースも、多々あります。
従ってパーツが入っているから、すべて使う。と言う論法は成り立ちません。
そこで他のジャンルのキットで、主従がはっきりするパーツを見てみますと、飛行機のプラモデルにパイロットのフィギュアは付いてきますが、絶対ではありません。AFVにしましても、戦車長や操縦手などのフィギユアが付く事もありますが、必須と言う訳でもなく、別に無くても商品として成立しますし、違和感もありません。
車やバイクなどに至っては、フィギュアが付属される事は、ほぼ皆無で、別売りではアイテムとしてありますが、無いのが当り前です。
もっともフィギュアと言う観点で見るなら、艦船模型では付属されないのが当り前ですから、比較対象としては正しくなかったですね。それに航空母艦のキットに、艦載機が付属されていない方が希なので、他のジャンルなら、そう言ったパーツは何に相当するか、で見るべきでしょう。
そうなると飛行機でしたら、付属の武器類が妥当な気がします。基本的にキットに付いてきますが、別売りもされていますし、装着の有無について作り手の判断が介在する余地があります。
AFVでは何に相当するか、なかなか適当な存在を見出し難いですが、車外装備品辺りが相当するような気がします。歩兵でも良いのですが、歩兵のみでも作品としてジオラマが成立しますが、1/700の艦載機を並べても作品として成立するか微妙ですから、やや位置づけは異なる気がします。
この観点から見て行きますと、飛行機、特に現用のジェット戦闘機が妥当ですが、ミサイルの有無について考えると、どうでしょう? 武器を満載したストライク・イーグルと言うのも魅力ですが、武装或いはパイロンその物も付いていない状態であっても、別にそれは、それで、アリだと思います。
では、航空母艦の完成品に、艦載機は不要か、と言えば、そんな事もないと思います。そう、先の話しで言うのであれば、名脇役です。
航空母艦には、内火艇やカッターなども搭載されていますが、それは漬物程度の存在で、ポテトサラダやマカロニサラダ、いや、崎陽軒のシュウマイ弁当における筍の煮物、これに匹敵する名脇役が、艦載機。そう言えるでしょう。
絶対に必須と言う訳ではないけれど、あると存在感があって、いい味を出す。それが名脇役であり、航空母艦における艦載機、ではないでしょうか?
この辺りは個人の感覚や感性の問題なので、絶対と言う答えは存在しないと思いますが、航空母艦のプラモデルは、あくまで主体は船です。ですから、船だけが、でーん!とあっても、それはそれで良いのです。
そう、シンプルなソースカツ丼みたく、ご飯の上にカツが一枚だけ、でーん!とのっていても、誰も怒らないでしょ? それは、そう言う構成の物だからです。昔あったファミマの「ビックリ チキン弁当」にしても、そう言う構成が好きだから、それを買う訳です。
模型にしても、どの時点を以って完成とするかは、人、それぞれです。
船だけでも、立派な航空母艦の模型の完成品です。
AFVのコンテストにしても、随伴する歩兵のフィギュアがあってジオラマにしないと完成品として認めません、と言う事はありません。ジオラマはジオラマ部門、単品は単品部門と分けていますから、単体であっても立派に完成品として見做されます。
かと言って、名脇役の存在を否定する訳でもありません。
牛丼における紅生姜、カレーにおける福神漬け、お子様ランチにおける旗、名脇役の存在があるからこそ、メインが、より一層引立つと言えます。航空母艦における艦載機も、そう言った存在ではないでしょうか?
カツカレーのカツではなく、あくまでカレーにおける福神漬け、この絶妙な関係性が名脇役たる条件です。「おっ、いい仕事してるねぇ〜」とか、「やるじゃあない!」など、そんな感じの評価が、名脇役には相応しいんです。
崎陽軒の「シュウマイ弁当」も、名前からしてメインは、あくまでシュウマイ。「シュウマイ弁当って言うから、シュウマイだけかと思ったら、この筍の煮物、いい仕事しているじゃあない!」と言うサプライズが、嬉しさを増加させる訳で、最初から筍の煮物弁当だったら、美味しいとは思っても、そう高い評価ではないと思います。
長々と書いた割りに結論は出てませんし、また出せない問題だとも思いますが、「航空母艦の模型における艦載機の名脇役」論については、ご理解いただけたかと思います。もし、理解できないようでしたら、崎陽軒の「シュウマイ弁当」を買って、筍の煮物を味わってみて下さい、きっと理解できると思います。
そして、最後に、あえて言わしてもらえるのであれば、同時期のコンビニ弁当で、自分が一番好きだったのは、セブンイレブンの「イカフライおかか弁当」(って名前だったかな?)、です。
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