重巡洋艦 古鷹

ウォーターラインシリーズ No.345 古鷹
1/700
ハセガワ
製作・King of MIZONOKUCHI(2017年)

 

 

 

 

 ほぼ「ストレート フロム ボックス」、平易な表現を使うならばストレート組み、或いは素組って、ヤツです。

 触った事のあるウォーターライン・シリーズは、数の上では旧キットの方が圧倒的に多いので、ここは敢えて何もせずに、新キットの持つポテンシャルを試してみたい、と同時に、とにかく新キットに慣れるのを目的に、特に拘りのない物を選びました。

 キットの調達の多くを「ヤフオク」に頼っていますが、1,000円前後で落札できて、送料を含めても1,500円以下で取得できるキット、と言う点では、まことに遊びでのあるアイテムです。

 ですから気軽に作る普段使いのキットとしても、最適です。

 

 前述のようにストレート組みです。数少ない変更点としましては、後部マストを金属線に置き換えましたが、これは破損の復旧に伴っての事で、ディティールアップが目的ではありません。
 また、破損防止と強度向上を目的に、旗竿も、金属線に置き換えました。

 それ以外は、アフターパーツなどは、一切使用していません。

 強いて手を入れたと言えば、後から自分がやり易いように、舷窓をピンバイスで深くしたくらいです。

 

 真横からの写真を見ますと、2番・3番主砲塔が、やや斜めっていますが、各主砲塔と測距儀は、両面テープで仮止めしてあるだけなので、後で動かして遊ぶ事が出来ます。
(そう言う遊び方をするかは別として、主砲を任意の方角に向けた状態する事が出来ます。いくら専門ではないにしろ、主砲と測距儀が別々の方向を向いている、なんてミスはしたくありませんから)

 空中線は、予算の関係で1/700にしては、やや太めの釣糸を使用していますので、「少々太めの釣糸でも、透明のままなら、少しは目立たないか?」と思い、今回は、そのまま無塗装で使用して、カメラ写りを試してみました。 

 

 

 

 自分が小さい頃の古鷹型の印象は、「重巡洋艦なのに、主砲が3基しかなく、船体もちょっと小さくて、何か買うと損した気分になる、船」でした。

 昔から「2番砲塔と艦橋の間にある、不自然な空間は、何だろう?」と思っていましたが、元々は単装砲塔が山型に配置されていた事を知るのは、かなり時間が経ってからの事です。

 古鷹、加古、青葉、衣笠、これと言って所縁はありませんが、毎日見ている新幹線が、(当時の)最高速を記録したのが東加古川付近という事から、加古川が、日本の何処に在るか知っていましたから、旧キットは「加古」を作りました。
 まぁ、自分が広島ファンでしたら、「衣笠」を選んだかも知れませんが、特にそうではありませんでしたから…。
(当時、手元にあった本では、青葉型を区別せずに、まとめて古鷹型としていましたから、そう言うものだと思っていました)

 

 

 とりあえず、ちゃんと組んで、色を塗ると、こうなる。と言う事が分かりましたし、値段分は十分に楽しめたので、良かったとは思っています。

 

 

 

 

 

 

「何か、流行に踊らされている感じがする、薄っぺらい〜」
 と、言われそうですが、あざとく乗っかたヤツも、載せておきます。

 

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「古鷹」の製作記事

 

 今回、特に手を入れた訳ではありませんので、製作記事と言いましても、破損した後部マストの修繕くらいしか、ありません。

 新キットだけあって、各パーツも、旧キットに比べて繊細になっていますが、その分だけ強度は落ちていますし、破損し易くなっています。
 また、細くなった分だけ、接着面積も減り、修復し難くなります。また、空中線を張る場合には、強度にも不安が残ります。

 修繕には、プラモデル用の接着剤を用いますが、パーツが繊細なだけに、接着剤が完全硬化している事が、必須となりますから、どうしても時間が掛かります。
 この時間ばかりは、どうにもなりません…。

 

 その点、金属線に置き換えてしまえば、作業時間は30分程度で済みますし、強度も飛躍的に向上しますから、少なくても、やって悪い要素はありません。

 作り方ですが、先ず、単純な方法としましては、二本の金属線を十字に合わせて、交差している点を、ハンダ付けします。
 この方法は楽ではありますが、交差させて留めていますから、太さの分だけ変な厚みが出てしまいます。(左写真・簡易製作タイプ)

 少々手間ではありますが、二本に分割した金属線で、中央のメインとなる金属線を挟み、ハンダ付けした方が、スマートかつ、見栄えも良いです。
 製作の手間は、そう変わりませんから、方法としましては、こちらを推奨します。

 

 

 

ついでにキット・レビュー

 WLシリーズの新キット(旧金型より移行したもの)を、そう多く触っている訳ではありませんので、あくまで感想程度になります。

・船体
 ここ最近の主流になっています左右分割です。フェアリーダーや投棄管など、流石に昔のキットに比べて、情報量も増えています。考証面については、「古鷹」について詳しく調べた訳ではないので、確度は分りませんが、旧キットよりかは向上して、正確になっているのでは?と思います。

 装甲板の継ぎ目は繊細な凹モールドで表現されています。ちょっと不安になるくらいの浅さではありますが、1/700というスケールを考えると、変に彫り直して強調しない方が、良いように思えます。
 また、彫り直すくらいでしたら、この凹モールドをガイドにして、サフの厚吹きで表現した方が、いい感じになるかも知れません。

 舷窓も、ちょっと彫りが浅いので、カイド程度に考えて、ピンバイスで深くした方が、後で自分が塗装し易いと思います。

 パーツの合いなどは、いたって普通です。ちゃんと組立てれば、大きな隙間が開く事はありません。その分だけタイトかつシビアですから、湯口の処理が甘かったり、突き出しピンの跡が出ていたりすると、それだけでパーツが合いません。(これは最近のキット全般に言える事ですが、丁寧な処理が必須になっています)

 

・上部構造物
 こちらも組立てるパーツの合いは普通です。ただ、組み上げたパーツ同士の合いは、物凄く良いです。スナップフィットのように接着剤不要と言った感じで、カッチリと合い、艦橋や煙突などは、そのままでも外れません。
 また、下から積み上げていく艦橋も、ほとんど隙間が出来ず、塗装後に組立てても、まったく問題ありません。

 このキットで有難いなと思ったのは、煙突の合せ目が補助管の下にきて、上手く隠れるように設計されているところです。合せ目その物が隠せない所は、艦橋の下に入ったり、黒色で塗る為に目立たないなど、完成後に見え難くなっています。

 艦橋側面にモールドされた階段や通路(と思われるモールド)は、「これは700倍しても、雨樋だろう?」と言った感じですが、何も無いのっぺらぼうより、何かしらの情報があった方が、ストレート組みする時には、見栄えがします。
 逆に、アフターパーツを使用するなら、削り落とす手間が省けますから、何も無い方が有難いとも言えます。

 

・兵装関連
 主砲は、E型連装砲塔で、高雄型と同じになります。他のキットからの流用、或いは置き換えと言う点では、選択肢の幅は、かなり広いと思います。もっともキットのパーツその物の出来が悪い訳ではありませんから、無理に置き換える必要もないかと思います
 ただ、砲塔側面の防熱板のスリットは、かなり浅く、どんなに薄く塗装しても、スミ入れで強調するのは、かなりの困難だと思います。今回はストレートを原則としたので、敢えて何もしませんでしたが、もし、本気でディティールアップするのであれば、モールドをガイドに彫り直すなど、何かしら工夫が必要だと思います。
 上完成品はモールドをガイドに防熱板のスリットを描き込んでいます。

 魚雷発射管は、普通と言えば普通ですが、キットの発売年を考えると、もう少し頑張れたのでは? と思えるのですが…。次発装填装置上部のモールドも、かなり浅いので、こちらも、何かしらの工夫をしないと、潰れてしまい目立ちません。

 単装高角砲は、これまた繊細ですが、シャッターなどもモールドされています。しかし、側面は、のっぺらぼうなので、手を入れるのであれば、ちょっとディティールアップを施したい箇所ではあります。
 これを単品で見る分には、パーツも小ぶりで、新金型らしくはあるのですが、25o連装機銃はWパーツからになり、見た目では両方とも同じか、ともすれば25oの方が、太いように見えます。

 これは、このキットに限った事ではありませんが、個人的には1/700の絶対値(は無理ですが)よりかも、相対的な大きさや太さの方を、重視して欲しいです。つまり12.7p単装高角砲は、「古鷹」に載っている砲の中で2番目に大きく、そして太い訳です。ですから、たとえオーバースケールであって、20.3p砲よりかも細く、25o機銃よりかも太い、その中間のサイズでパーツ化して欲しいかったです。

 

・総括
 確かに新キットだけあって、旧キットと比べれば、色々な面で良くなっていると思います。しかし、一方では、このキットを小学生が買って、作れるのかな? とも思いました。

 旧キットは、確かに今の目で見ましたら様々な面で劣っていますが、パーツ数の少なさや構造の単純さに限って言えば、初心者にとっては作り易いキットだと思います。バスタブ形式の船体に、艦底は貼り合わせて、後は箱状の構造物を載せていけば、だいたい形になります。
 兵装関連にしましても、新キットに比べたら、パーツが大ぶりな分だけ、頑丈に出来ています。

 実際に、自分も、小学校低学年の頃に、ウォーターライン・シリーズを買って、作っていましたから、少なくても旧キットは小学生でも完成させる事は出来ます。(今の小学生がウォーターライン・シリーズを欲しがるか、買うかは、分りません)

 新金型に移行した後でも、初心者用に旧金型の方も、幾つかは残しておいても良い気がします。実際、ハセガワは、飛行機に関しては、入門用の位置付けで、旧キットも並行して販売しています。

 それにヤフオクなどで入手するならともかく、普通に模型店の店頭で定価購入すると、2,200円(税抜)です。キットの中身やクオリティなど、諸々の事情を理解している人にとっての2,200円と、模型を初めて買う人や始めたばかりの人にとっての2,200円は、違うと思うんですよね。
 いくら大人でも「じゃあ、ちょっと試しに〜」で、払える金額って、せいぜい1,000円前後くらいじゃあないのかな? って。

 まぁ、今のご時世ですと、その金額で買えるのは、ガンプラなどかなり限られたアイテムで、そう選択肢は広くはありませんが…。その点は置いておくとして、組立られる一定水準以上の技術力を持ったモデラーにとっては、新キットの方が有難いですが、その分要求値も上がっていますから、敷居高くなっていると思います。

 

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