第肆回 共同開催コンペ 「風流」
月部門

 

 花鳥風月の中で「月」に因んだ部門です。あるようで捜すと意外と無い、案外と厳しいレギュレーションです。

 「風」と並んで駆逐艦にならば、かなりの数があります。ただ、それを除いてしまうと夜間戦闘機の「月光」は直ぐに思い付きますが、それ以外となると、なかなか出てきません…。明確に月を連想できると言う点では、アポロ月着陸船などは、なかなか良いアイテムだと思います。やや捻ってはいますが「ローレル(日産)」は月桂樹の意味なので、月が入っている事には変わりありません。
 やはり駆逐艦を除いてしまうと、出てきませんね…。

 キャラ物の場合「ガンタムX」辺りは直ぐに思い付きますし、レギュレーションにも書きましたが「ザンボット3」、ストレートなアイテムは、こんなところでしょうか?
 フィギュアでしたら、キャラの名前に月の旧名が使われる事が多いので、睦月や卯月はあまり見掛けませんが、如月や水無月は結構います。誰か、神無月めぐみ(無敵看板娘)を出すかな?と思いましたが、今にして思えば自分が、それに走っても、良かったですね…。

 やはり、やり難さもあったのか、全部門で、最もエントリー数が少ない部門になりました。

 

月周回衛星 かぐや(SELENE)

1/72 アオシマ
制作・水凪海

 

 

 

 こちらは、直球です。今回のテーマでいえばもちろん月になりますね。このテーマに決まった時にはすでに7割ほどできており、コレをメインで行くことは決定しておりました。

 ただ、なかなか手が動かず、結局完成したのは、夏くらいだったでしょうか。あまり資料も見ていないので、さほど手は入れてませんが、黒いサーマルブランケットはアルミホイルにプライマー吹いて、黒塗装で仕上げています。
 それを適度な大きさに切り出して貼り付け、の繰り返し。大きな面に関してはこれで結構ソレっぽくなっていると思いますが、小さい部分は貼り付けがうまくいかず、結局塗装で済ました部分もあります。

 シルバーの部分は下地にウィノーブラックを塗装、その上からメッキシルバー。というか、メッキシルバーで全体を塗装後に黒のアルミホイルを貼り付けていく、という制作過程でした。

 はやぶさの時は金色のシールだったので、貼り付け作業はさほど苦労がなかったですが、今回はそれ自体張り付かないアルミホイルなので、細かい位置決めが大変でした。もうやりたくない。

 さて、作品そのものについてはこんな程度なので、直球勝負なうえにひねりもなく、つまらないといえばつまらないので、一首詠んでみました。 完成度については不問としてくださいw 「一色の尽きぬ砂漠に地球の出 雲間に望む天の香具山」 「ひといろのつきぬさばくにちきゅうので くもまにのぞむあめのかぐやま」

 

セルジオ越中の超精密解説

 この種のアイテムと言うとレベルなんかを想像しますが、やはり国内でしたらアオシマですね、タミヤもアポロ宇宙船を出した事がありましたけど。アオシマのHPを見ると分かりますが、意外とラインナップも多く、充実していたりします。

 さて、こう言ったアイテムは、数が絶対的に少ないのもありますが、模型誌で扱われる機会も少ないので教科書が存在せず、制作者自身のセンスや技量が問われると思います。その中で質感に拘ると言うのは、スケールモデルでは常套手段で、基本を抑えた作りと言えます。
 しかし、その苦労は制作者のコメントからも窺い知る事が出来ますが、得てしてつまらない地道な作業だったりします。

 本作以外にも「はやぶさ」や「H2B」も手掛けており、趣向と言う点では、意外と立川のダルマ師に近いのでは? と思っているのですが…。

 水凪海氏のHPを見ると、制作年が2012年なっているものが20で、コンペ作品の「かぐや」と「F−16CJ」を加えると、大台を突破しています。妻帯者で、子供も居る身で、この制作ペース。家庭内不和の原因にならないか心配でしたので、直接、本人にあった折に訊いてみたが、どうやら理解があるらしく、特に問題は無いようです。
 自分も、HGシリーズは作るの楽なので、これを多く手掛けた年は、完成品数をけっこう稼ぐ事が出来ましたが、それでも20の大台を突破するのには、決して楽な事ではないです。それにすべてが1/144HGと言う訳ではなく、F−16CJのような手間の掛るアイテムも含まれています。

 やはり日頃から手を動かしている人は、何をやっても上手くいく、と言った感じですね。

  

 

マイティ祐希子 for ムーサルトプレス 

1/14 フルスクラッチ
制作・King of MIZONOKUCHI

 今年のコンペに挑むにあたり、最低限の目標として「全部門のエントリー」を考えていました。かなり早い時点で手を付けていた「F-15E ストライクイーグル“アイドルマスター 如月千早”」がワイルドカード的に鳥、月の二部門にエントリーが可能でしたが、それでは面白くないし、駆逐艦に走るのも安直に感じられ、何かないかと考えていました。

 そこで目にしたのが、そう月一回のお楽しみ、サムライTVで放送される「大日本プロレス」中継でした。今のプロレス界で(個人的な主観ですが)、最も美しいムーンサルトプレスと言えば、やはり宮本祐向(666)でしょう。
 コンペの「月」部門にプロレス技でエントリーするなど、おそらくプロレス・ファンである自分だけだろう、と思い決めました。

 マイティ祐希子は、「レッスルエンジェルス」(以下WA)シリーズ、一作目のヒロインで、オフィシャルに定められている必殺技が、ムーンサルトプレスです。後半は、日本海式竜巻原爆が必殺技になりますが、これは複雑すぎてフィギュアで作ろうと言う気になれませんでした…。
 また、マイティ祐希子はリングネームで、本名は新咲祐希子なので、場合によっては「花」部門にもコンバートできる、と言うのも有利に働きました。

 ただ、WA1では能力値や進行上の関係でマイティ祐希子を使いましたが、WA2のオマケでは「使い古しのヒロイン」と言われる没落ぶり、WA3の時は静岡県出身の武藤めぐみ(WA2のヒロイン)や金森麗子(WA3の実質的なヒロイン、誕生日が同じ)をエースに据え、WASPではWA2からのストーリーの流れで皆勤賞を逃している為、シリーズをすべてプレーしていながら、あまり縁のないキャラです。

 その為か、ある程度目途がたった時点で、他のアイテムを手掛けてしまい、制作を先送りしていました。しかも、日程が切羽詰まっている時に、Su-33フランカーDを捻じ込んだツケが、すべてコレに来ました。

 ちなみにリングですが、プロレスのリングには明確な規定がなく、団体によってまちまちです。その中で、ルールブックにリングのサイズ、ロープの高さ、間隔など、すべてが明文化され数値が分かる「パンクラス」を元にしています。

 あまり書くと模型や制作から、プロレス談義に話しが逸脱しそうなので、その辺りで止めておきます。

 

 締切を過ぎてしまったので、コンペには間に合いませんでした。本来は、こうなる予定でした(完成時)

 

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  …で、ここからは自分のページと言う事で、好き勝手にプロレス談義をさせてもらいます。

 ムーンサルト・プレス(月面水爆)をフニッシュホールドにしている選手は多く、またフニッシュとは言わないまでも、わりと後半に使う大技です。が、見ていて「本当に効果的なのか?」とは、常々疑問に思っています。

 確かにダイビング・ボディ・プレスに比べれば、バク宙する分だけ高さ、遠心力によるスピードが加わりますが、一方では相手に背中を向けて飛ぶ為に、正確にはヒットしません。

 ここ最近の流れを見ても、棚橋弘至(新日)のハイ・フライ・フロー、伊東竜二(BJW)のドラゴン・スプラッシュなど、いわゆるダイビング・ホディ・プレスをフニッシュにしている選手が多いです。
 伊東竜二の場合は、ドラゴン・スプラッシュに行く前段階でムーンサルト・プレスを使っており、技の序列的にも下に位置されています。

 解説席で内藤哲也(新日)が、「見た目は、どう映っているか分からないですけど、実際には、効くんですよ。だって100kg近い人が、降ってくる訳ですから」、とプランチャー・スイシーダの説明をしていました。
 相手の体重と加速を立った状態で受けるプランチャーと、寝ている状態で受けるムーンサルト・プレスとでは、単純に同じとは言えないものの、確かに加速度をつけた質量が降ってくると言う、物理的な衝撃はかなりの物だと思います。

 その点では言えば、相手に正対して飛びつつも、加速と遠心力をつけた、ファイヤーバード・スプラッシュは、より進化した技だと言えます。本人は、SEXと名付けていますが、忍(666)のファイヤーバード・スプラッシュ、あの、重力が無いんじゃあないか?と感じさせる滞空時間の長さ、ホームの美しさ、個人的には、今現在で最も華麗な飛び技だと思っています。ついでにセックスボンバーの下品なアピールも、良いですね。子供には見せられませんけど…。

 一方、シューティング・スター・プレスは、更に回転と高さが加わるだけに、ムーンサルト・プレスより強力に見えます。この技って、獣神ライガーになる前の山田恵一(新日)が開発した技なんだけど、今では本家の人は使っておらず、今だと飯伏幸太(DDT)のフニッシュ技って感じですね。山田って、今風に言えば超イケメンなのに、マスク被って、勿体無い…。と言うより、TVアニメが一年で終わったのに、延々とライガー続けている山田って、エライよ! 週プロの選手名鑑にも、毎年、生年は1991年、出身地は永井豪宅って書いているし。

 

 話しをムーンサルト・プレスに戻しますが、この技を使う人は多いですが、記憶に残っているのは小橋健太(全日)と豊田真奈美(全女・当時)ですね。

 ムーンサルトプレスを使っていた頃の小橋は、いまいち弱くて、善戦マンって呼ばれていましたけど、ムーンサルトプレスに行く前の青春の握り拳、熱かったです! SFCで、全日のゲームをしていた時も、やらない方が有利と分かっていても、必ず握り拳でアピールしていました。
 同時期に武藤敬司がラウンディグ・ボディ・プレスの名前で、実際にはムーンサルト・プレスですが、正直、スマートな武藤のホームに比べて、小橋のムーンサルト・プレスは泥臭いと言うか、如何にも不器用でした。ただ、その不器用さが、応援したくなりますね。
 最強タッグの決勝戦、武道館のメインで、三沢と組んで、初めて田上からピンフォールを取った試合、あの時のムーンサルト・プレスは、今でも記憶にはっきりと残っています。

 一方、豊田真奈美の場合、フニッシュは芸術的なスープレックスである為、ムーンサルト・プレスは中盤〜後半にかけて使う、そこそこの技です。ただ、飛翔天女の異名は伊達ではなく、そのフォームの美しさと速さは、当代随一だったと言えます。場内に向かってやるか、場外に向かうかの差だけですが、ラ・ケプラータも、豊田真奈美の魅せ技の一つですね。
 ちなみに豊田真奈美本人のHPでは、トップページにムーンサルト・プレスのGIFアニメがあり、やはり拘りの技なんだなぁ〜と感じさせます。

 で、今の選手、と言うと小橋も豊田も引退していないので、若干の語弊はありますが、最も美しいムーンサルト・プレスを見せるのは、宮本裕向(666)だと思っています。確かにKAMIKAZE(ZERO-1)も拘っていますが、宮本のY軸方向に高く、滞空時間の長いムーンサルト・プレスは、お金を払って観るに値する技です。

 

 で、ここが重要なんですよ!

 

 「プロレスなんて、八百長じゃん」、って思っている人、貴方は、プロレスを何だと思って見ていますか? 

 確かに選手が一定のルールに基づいて競い合うスポーツとして面、選手が様々な技を駆使して相手を倒すと言う格闘技としての面、そう言った所だけしか見ていませんか?

 プロレスを運営しているのは、文科省配下の外郭団体じやあありませんよ。Jリーグの運営は営利を目的としない法人である日本サッカー協会ですが、プロレスをやっているのは、営利を目的とした株式会社で、業種はサービス業、事業内容は興行の企画運営です。

 つまりプロレスにはスポーツとしての側面、格闘技としての側面もありますが、最も重要かつ気付き難いのは、大衆演劇としての面です。

 プロレスは八百長と言うなら、その通りですが、それも含めて楽しむのが、プロレスと言うものです。

 ただ、単に強さだけを競うのであれば、それはアマチュアの競技会で、プロレスではありません。

 そもそもプロレスの最後の試合の事を「メイン・イベント」とは呼んでも、「ファイナル・ゲーム」とは呼ばないでしょ? そう言う試合に登場するレスラーを、トップイベンターって呼ぶし、最初の方の試合を前座って言う事からも、イベント、興行なんですよ。 

 プロレスには暗黙の了解もありますし、ブックも存在します。そう言ったところが、純粋な競技や格闘技として見ている人には、八百長臭さが鼻に突くんだと思いますが、そう言うものだと分かった上で見るのが、プロレスの楽しみ方です。

 強いか、弱いかで言えば、決して強いとは言えないですし、前座に出る事の多いレスラーですが、菊タロー(フリー)などは、会場の空気を持って行く、客の心をつかむ、来場者を楽しませる、と言う点では、日本でもトップクラスの選手です。
「本日は××〜」で始まり、「最後は、この技でお別れしたいと思います。ブレーン・バスター!」で終わる一連の口上など、プロレスの大衆演劇としての面を良く出しています。

 客が支払った対価に見合う、何かを提供する、それが資本主義経済の原則です。

 以前、対談番組で、長州力(リキプロ)が、「プロレスは、先ず、客と勝負している。それに対して総合は、始めに試合ありきで、後はそれに客がついてくるか、と言うやり方をしている」、と言った内容の事を語っていました。確かに格闘技系も、一時期はかなり華やかでしたが、今では鳴りを潜めています。 

 サービス業である以上、客を無視しては、成り立ちません。

 やはりお金を出してチケットを買う、そこには何かを期待しての事であり、客の期待に応えられない場合は、当然ながら次は買ってもらえない、と言う訳です。

 まぁ、プロレスが嫌いと言う人も居るでしょうし、それはそれで観なければ良いんですよ。あくまで娯楽の一種であって、義務は無い訳ですから。

 では、プロレスが好きな人、ファンにとっての夢は?と言えば、「自分自身が団体のオーナーになり、好きな選手を集めて、好きなカードを組む」事です。その夢を実現したゲームソフトが「レッスルエンジェルス3」です。

 そかも、このゲームの泣かせるところが、各都道府県の会場はキャパ順に並んでいますが、唯一の例外として、東京都は65,000人収容の東京ドームを抑えて、キャパ2,000人の後楽園ホールが、最も上に位置されています。
 う〜ん、分かってらっしゃる! 聖地・後楽園ホールが、東京ドームを抑えて、東京都のトップですよ。もう、どんだけマニアの心を分かってるんだ、って感じです。

 はたして、ここまで読んでいる人が、何人いるか分かりませんが、ラストまで読んでくれた人、

 

「愛してまぁ〜す〜!」

 

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