戦闘メカ ザブングル('82.2〜'83.1)
結果としては空前の大ブームを引き起こした「機動戦士ガンダム」だが、あくまで放送時は低視聴率に悩み、打ち切られている。その後ロボット物の主流となる普通っぽい主人公、中型の量産メカという路線も、当時としては、あまり受け容れられなかったのだろう、後番組の「無敵ロボ・トライダーG7」「最強ロボ・ダイオージャ」は、従来通りのコンセプト、つまり選ばれた主人公、一点豪華主義のメカと言う路線に戻った。
ロボットアニメの歴史において、金字塔となる「機動戦士ガンダム」、その正統な後継者は、「戦闘メカザブングル」ではないだろうか? 確かに従来のロボットアニメの路線を完全に捨て切れてはおらず、主人公が登場するザブングルは、世界観にそぐわないヒーロー色の強いメカデザインで、浮いた存在となっている。それでも主人公機が複数登場し、主人公以外も搭乗するなど、かなり画期的な作品である。
燃料はガソリン、ハンドルで操縦と、現実味のある設定。その反面で「ちょと重装備かな? まあ、いいや。ザブングルは男の子」「できるさ、アニメだから!」など、ギャグやコメディーとしての色も持ち合わせており、ほぼ同時期の「太陽の牙ダグラム」とは、真逆とも言える作風であった。
奇しくもその2作品は、「ザブングル・グラフティー」「ドキュメント・ダグラム」として、合わせて劇場公開されている。
WM ダッガー・タイプ
制作・松本の幹事長
コンペ用アイテムとして、松本の幹事長様が、製作。一連のWMシリーズの中では、最初に登場したアイテム。
カラーリングや流用のデカールなど、その形状も相まって、「超時空要塞マクロス」のデストロイド系列を彷彿させます。
スミ入れに使用する色、軽めの剥げチョロ塗装と、単なるキャラ物の域を超えたリアリティーを、作品に与えています。
元々、ウォカーマシンその物が、作業用機械という設定だけに、戦闘用ロボットとしてではなく、実在するユンボなどをイメージソースに、リアルな作業用機械として作るのは、正解だろう。
そして、AFVで培ってきた技術が、十分な裏打ちを与えています。
WM トラッド11・タイプ
制作・松本の幹事長
一連のWMシリーズの中では、(現時点で)最後の完成品となっている、トラッド11。「冬期迷彩風…サフ吹きして、グレー系で5段階くらい、明度上げて」との事ですが、ドイツ戦車で使い慣れた色だけに、もはや死角ナシ!と言った感じです。
アイテムとしてはキャラ物、WMではありますが、作風や仕上がりなど、完全にAFVと言って良いでしょう。
WM ギャロップ・タイプ
制作・松本の幹事長
「普段使わない色での塗装を、と思ってライトブルー系で基本塗装しましたが、この後どう仕上げるか?」
「下地がライトブルーなんで、航空機の塗装パターンで、最初グリーンを吹きましたが、模型映えしなかったんで、黄燈色吹いてみましたが…」
と、色々と迷われたようですが、完成した段階では、上手く纏まっており、製作途中の写真やコメントがなければ、Mk.Uマチルダ辺りの砂漠迷彩を意識して、と思ってしまいます。
今回、岡山の模型部員様も、同じ「1/100ギャロップ」で、コンペに参加。(下写真)
「改造箇所は足首、股関節の可動域拡大、左手ツメの角度変え、右肩機銃を操縦席前に 位置変更、胸と荷台側面ライトを文具シール化、床と一体だった操縦席シート切り離し、 手足リベットモールドの作り直し、といったところです。 スミ入れの後タミヤウェザリングマスターで仕上げました。」、との事です。
小さなアイテムだけに、サラっと流して完成させたくなるものですが、そこに手を入れる辺りが、岡山の模型部員様らしいところです。
ごく自然に、元からそう言うキットだったのでは?と思わせるくらい、そんな違和感のない、だけど山椒のように小さいけど効果的な改造、岡山の模型部員様の真骨頂とも言えます。
それにはキャラ物に対する豊富な知識に留まらず、他のジャンルも手掛ける事によって得られた経験が、加わっています。
マフラーの金属色、工具類、手摺り、ライト、幌などを、細かく塗り分ける事によって、各パーツの材質、存在意義などが引き立ち、完成品に説得力を与えています。
小物を引き立てる、と言うのは、岡山の模型部員様が、ミニスケールAFVを作った時に得たノウハウでしょう。
当時「プレミアム」に、岡山の模型部員様がミニAFVについて書いた記事の中に、「小物を引き立てる」というのが、あったと思いました。
…しかし、これが「ウルトラ5つの誓い」のパロディーになっている事は、「円盤皇女ワるきゅーレ・十二月の夜想曲」DVD3巻の解説を読むまで、気付きませんでした。
同じアイテムでありながら、作り手によって違う完成品になる。と言うのも、コンペの面白味でもあります。
また、WMの設定なども、自由度を高めるのに、一役買っていると言えるでしょう。
制作・岡山の模型部員