いすゞ ピアッツアXE with ARIA

フジミ 1/24 ピアッツアXE

 

「イタコンペをやろう」と言う事になった時から、ピアッツア+ARIAの痛車、これで行こう!と言うのは、直ぐに決まりました。

 イタリア車の痛車と言う二段オチは誰でも直ぐに思いつきますが、あくまで(乗る)車は国産と言う拘りを持つ私としては、こう言う時こそ国産車でありながら素でイタのレギュレーションをクリアーできるピアッツアしかない!
 そこにヴェネチアをモチーフにした「ARIA」の世界観、これで三段オチ! これぞ最強の組合せ。

・いすゞ ピアッツアXE
 最近の若い人はいすゞが乗用車を作っていた、と言う事すら知らないかも? それは置いておくとして、イタリア人デザイナーのジョルジェット・ジウジアーロによる個性的なスタイル、空力にも優れていますが、その形状から付いた渾名はマヨネーズボトル。見方によっては商業用のバンと言えなくもないですけど…。とかくデザインに目が行きがちですが、発売された81年の当時として画期的な技術も、色々と盛り込まれていました。
 
しかし、乗用車に弱いいすゞの販売網、そしてソアラより高い価格設定もあいまって、販売台数は芳しくありません。ただ、意外にも米国では当初の年間目標数を7ヶ月で達成すると言う、爆発的なヒットとなりました。(米国販売時の名称は「インパルス」)
 個人的にピアッツアの魅力として、点灯してもスタイルの変化が少ないリトラクタブル・ライト、スポーティーでありながら大人が4人楽に乗れる実用性、アニメや特撮を彷彿される運転席のサテライトスイッチ類、マイナーで二流っぽい所、その辺りでしょうか?

 まぁ、セリカXXやスープラ、バラードスポーツCR−X、そしてピアッツアと見て解ると思いますが、リトラクタブル・ライトが好きなんです。リトラクタブル・ライトを装備した車でもRX−7なんか、ライトを点灯すると超マヌケなカエル顔になりますけど、ピアッツアは上部が少し持上げるだけなので、違和感が少ないのが良いですね。

 キットの方は「古いから」で片付けられる問題では無い気がします。先ず内装ですが、ほとんどありません、スカスカです。数少ない入っているパーツも、形が全く違う為に使用する事が躊躇われます。

 先にも書きましたが「スポーティーでありながら、大人が4人楽に乗れる」と言うのは、ピアッツアの大きな特徴であり、それは室内のレイアウトにも表れています。内装に拘る自分としては、ここを疎かにする事は出来ません。

 リアシート及びトランクは全て作り直し、フロントシートも作り直した物をキャストコピー。ドアの内側も新造など、内装を仕上げるだけで、かなりの時間を費やしました。特に、ボディとシャーシの隙間が深刻で、ここを覆いつつ、尚且つ塗装後にハメコミが出来る、そのクリアランスを取るのに時間が掛かりました。
 他にもシャーシの方もいじっているのですが、とにかく箇所が多過ぎるので、割愛します。

 カーナビやドリンクホルダーと言った標準的な小物は、スープラを作った時に纏めて製作したので、今回は新たにと言う物はありません。専用の小物としてはDVD全巻、単行本全巻、月刊ウンディーネ6冊など、です。

 デカールのデザインは、既に1月の段階で終わっていました。「ARIA」の中からアリスをメインに据え、キャラを全面に出した大版デカールと言うのが、基本コンセプトです。(この辺りは「Fate/stay night」と同じ)
 単行本、画集からアリスの画をかき集め、背景を飛ばし、欠損部分を補填。そのままプリントアウトすると、やや色が薄いので、画像補正をかけて濃い目するなど、加工技術の集大成とも言ます。
 サイドのロゴは「ARIA」で使われているフォントを使いつつ、「ARIA」ではなく「ALICE」に変えてあります。これは、F−1でタバコCMが禁止のGPで、マルボロのロゴをマクラーレンに変えたアイデアを使っています。

 「Fate/stay night」の時、凛のクセっ毛とリボンやセイバーの頭のハネなど、どの程度までならデカールを切り抜けるかと言うのも解っていたので、その辺りは全く問題がありませんでした。

 自分の中では、「痛車であっても、本体色は変えない」と言うのが、あります。これは実際に車の全塗装をすると、かなりの金額が掛かるので、仮に自分の車を痛車にするにしても、せいぜいシールを貼る程度だろうと言う、妙なリアリティーから来ています。

 まぁ、現実で出来ないのだから、模型で楽しむと言うのも解りますし、あくまで自分の中での拘りです。

 実車のピアッツアで多く見掛けたのは、白と銀でした。勿論、他にもボディカラーはありますが、今回はゴンドラを意識して白を選択(黒は、金色をデカールで打ち出せないので、無理ですし…)

 サイドにのみ、オールと同じデザインを、ラインとして入れました。「このくらいなら、カッティングシートで出来るだろう」と言う事で、自分のリアリティーにおける許容範囲内でした。

 いやね、これで終わっていれば、「良く出来ました」で、万歳だったんですけどねぇ…。

 写真を見てもらえれば解ると思いますが、左側にかなりボディとクリアパーツに隙間があるでしょ、致命的なほど…。

 パーツの合いについてはチェックしましたし、実際、個別に見ると悪くないんです。ただ、全てが一緒になると、ダメでした。
 接着する時、右側に合せた為、左側の方が酷くなっています。

 デカールを貼って隠せるかな?とも思いましたが、それで何とかなるレベルでは無かったです。

 

 

 

 

 

 

「痛車はデカールだけじゃあ出来ねぇ、車を手に入れられるかも、力の内さっ。お前の負けだよ…」(新世紀GPXサイバーフォーミュラSIN・Round.1 参照)、そんな声が聞こえてきそうになりました。

 ピアッツアのキットを選んだ時点で解ってはいましたが、はっきり言って型落ちのエクスペリオンで走るより、厳しい状況でした。時間が無かったとは言いませんが、精神力や労力の大半を既に内装の製作に費やしており、ここに来てのコレはキツイです。
 クリアパーツを切り離して、個別に接着していれば、全く問題は無かったのですが…。後から気付いても、もうダメですね。それに一度気持ちが途切れると、もう何をやっても上手く行きません。多分、貼られたデカールを見れば、どの辺りで心が折れたか、よく解ると思います。

 一度は、無理にでも完成させてとも思いましたが、ピアッツアと言う車、ARIAと言う作品、そこを考えると思い切ってリタイアしてでも、やり直す事にしました。
 もし、ベースの車が他の車種、デザインがARIAでなかったら、多分、そのまま完成させたでしょう。

 

 リタイアした今となっては仕方無い事ですが、画像の加工技術、レイアウトとデザイン、この辺りは高水準だったと思います。

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